カナダ館 | 「再生」というテーマを、氷と自然で印象的に表現したパビリオン

Expo2025 大阪・関西万博
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カナダ館は、カナダ特有の自然環境を「再生」という言葉で見事に表現していたのが印象的なパビリオンでした。

雪と氷に閉ざされた冬を経て、春になると氷が割れ、水が流れ出し、大地がよみがえっていく。そのカナダらしい季節の移ろいを、建築や展示全体を通して感じられる構成になっていて、とても分かりやすく、印象にも残りやすい展示だったと思います。

しかも、この「再生」というテーマは、単に四季の巡りを表しているだけではありません。地球温暖化の影響や、先住民、移民といった社会的な背景も含めて、カナダの現状とこれから目指していく姿まで重ねて表現されているように感じました。自然の美しさだけで終わらず、その奥にある課題や希望まで伝わってくるところが良かったです。

公式テーマは、ひと言で示された「再生」

カナダ館のテーマは、「再生」でした。

とてもシンプルな言葉ですが、だからこそ強く印象に残ります。雪と氷に覆われる厳しい冬、そして雪解けとともに木々が芽吹き、大地が生き返っていくカナダの自然を端的に表していて、非常に分かりやすいテーマだと感じました。

しかも、何か長い説明を添えるのではなく、ただひと言「再生」とだけ掲げているところにも、かえってメッセージ性の強さがありました。シンプルだからこそ、自然の再生、環境の再生、社会の再生と、さまざまな意味を重ねて受け取ることができる言葉になっていたように思います。

氷山のような外観が、ひと目でカナダらしさを感じさせる

カナダ館の外観は、誰が見ても氷山をイメージしていると分かる、とても印象的なデザインでした。

ひと目見ただけで「カナダっぽい」と感じさせる外観で、カナダに対して多くの人が持っているイメージを、そのままうまく建築に落とし込んでいるように思いました。ただし、それは単に冬の厳しさを表す氷山ではなく、春の訪れとともに氷が解け始める瞬間を表現したものになっていたのが面白かったです。地面には、小川のように水が流れていく様子を思わせるペイントも施されており、「今まさに再生が始まろうとしている」ことが伝わってきました。

私自身、最初に見たときは氷が溶け出しているというニュアンスまでは気づかなかったのですが、大屋根リングの上から俯瞰して見たときに、その見え方が大きく変わったのがとても印象に残っています。近くで見たときと上から見たときで印象が変わるのも、この建築の面白さのひとつでした。

タブレットを使って、氷の中からカナダを見つけていく展示

パビリオンに入ると、まず一人一台ずつタブレットを手渡されます。

館内には大小さまざまな氷の塊が配置されており、その氷にタブレットを向けることで、カナダの自然や文化、歴史などに関する映像がARで浮かび上がる仕組みになっていました。氷の中に隠された物語を、自分で見つけていくような感覚があり、この体験はとても楽しかったです。

内容としても興味深いものが多く、個人的には、カナダの先住民について知ることができたのが印象に残っています。カナダの先住民というと、漠然とイヌイットを思い浮かべていたのですが、実際にはファースト・ネーションズと総称される数多くの先住民族が存在していたことを、この展示で初めて知りました。こうした学びが自然に得られるのも、このパビリオンの良さだったと思います。

自分のペースで巡れる自由さも魅力

館内の氷塊は大きさもさまざまで、どの氷塊のストーリーを見るか、どの順番で見るかも自分で自由に選べるようになっていました。この“自分で見つけていく”感じが楽しく、決められた順路をただ追うだけの展示とは違った魅力がありました。

中には、自分の背丈をはるかに超えるような大きな氷塊もあり、まるで本当に氷山の中に入り込んだような気分になります。そのため、タブレットを使ったAR体験だけでなく、館内そのものを見渡して歩くだけでも十分に楽しめる空間になっていました。

一方で、タブレットはiPadにグリップのようなものを取り付けた仕様になっており、長時間持ち歩くには少し重いという印象もありました。また、館内は暗めの演出になっているうえに、タブレットの画面を見ながら移動している人も多かったため、少し危なさを感じる場面もありました。展示としては面白いのですが、その点だけは少し気になりました。

パルカのフォトブースも、もう少し活かしてほしかった

出口の手前には、マスコットキャラクターであるパルカと一緒に写真撮影ができるブースが設けられていました。

パルカは万博のために新しく作られたキャラクターではなく、カナダ国立公園庁の公式キャラクターとのことです。かわいらしくて印象には残るのですが、館内では特に大きく紹介されていなかったため、少しもったいないようにも感じました。

せっかくなら、ARの案内役や解説役のような立ち位置で展示の中にも登場してくれたら、より親しみやすさが増したのではないかと思います。最後に写真を撮れるだけでも楽しいのですが、もう少し展示全体の中で活躍していても良かったかもしれません。

レストランで味わったプティーンとビールも良い思い出

カナダ館には、伝統的なカナダ料理であるプティーンを提供するレストランも併設されていました。

それまで私はプティーンを食べたことがなかったのですが、フライドポテトにチーズをかけた料理と聞いただけで、もう間違いなく美味しそうだと思い、思わず注文してしまいました。実際に食べてみると期待通りで、会場限定で販売されていた「カナダじん」というビールと一緒に楽しんだ時間も含めて、とても満足度の高い体験でした。

しかも、そのときちょうどタイミングよく花火が上がり、万博らしい非日常感を味わえたのも良い思い出です。展示だけでなく、食事まで含めてカナダ館を楽しめたのは大きかったです。

カナダ館で特に印象に残ったこと

カナダ館で特に印象に残ったのは、やはり建物の外観でした。

ひと目見ただけで「カナダらしい」と感じさせるデザインは、それだけでこのパビリオンの完成度の高さを物語っていると思いますし、「再生」というテーマを、氷が解けていく瞬間のデザインで表現していたのもとても面白かったです。単なる氷山ではなく、“これから再生が始まる”ことを見せる外観になっていた点が、このパビリオンの魅力をよく表していたように思います。

また、館内ではタブレットをかざして初めて内容が分かるため、次はどんな映像が出てくるのだろうというワクワク感がありました。自分で発見しながら巡る楽しさがあり、その点も印象に残っています。

まとめ

カナダ館は、「再生」というシンプルで力強いテーマを、建築と展示の両方で分かりやすく表現していたパビリオンでした。

氷が解け、水が流れ、大地がよみがえるというカナダらしい自然の姿を入り口にしながら、その先には環境問題や社会のあり方まで重ねて感じさせる奥行きのある展示になっていたのが良かったです。

ARを活用した展示も、自分の興味に合わせて自由に巡れる楽しさがあり、氷塊の中に隠されたカナダの物語を見つけていくような体験ができました。外観の分かりやすさ、展示の面白さ、食事の満足感まで含めて、カナダ館はとても印象に残るパビリオンだったと思います。

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